オムニチャネルの時代⑥ ネットショップ10年の戦略

メーカー化

前回のブログで、「競争環境における選ばれる理由が必要」と書きました。
これからは、単に仕入れ商品をネットで売る、というだけでは選ばれることはありません。
ネットショップが選ばれるには

・メーカー化
・サービス業化

のどちらかの選択が必要です。

メーカー化というのは、自社で商品を開発する、ということです。
これまで仕入れ商品を小売りしていたのであれば、お客様が求める価値、良くある質問、今扱っている商品では提供できない価値など、気付くことがあると思います。
それを叶えられるような商品を開発するのです。

商品開発をするなら、ある程度の量でないと開発コストがまかなえませんし、一点あたりの生産コストも高まりません。
そのため、普通は商品開発をする前に、仕入れ品の販売量を増やし、顧客基盤を気付いておく必要があります。
その上で、自社商品を投入し、既存の顧客や、新規にサイトを訪問する見込み客に紹介するのです。

サービス業化

サービス業化とは、商品そのものは他社と同じでも、それに付帯するサービスが他社と異なり、差別的優位点となっている場合です。

お客様は商品を購入するとき、実際は物理的な商品本体以外に、いろいろなサービスも購入しています。
たとえば、ネットショップであれば、サイトを通してコンテンツと機能を提供されています。
商品に興味を持ったら、ショップにメールや電話でお問い合わせをすることもあるでしょう。
最近ではチャットで接客する機能を持つサイトも増えてきました。
注文したら、受注確認メールや、商品の納期を伝えるメール、到着確認メールなどが届きます。
納期や、商品の梱包、特にギフトパッケージなどは大きな差がつくところです。
さらに、商品使用時の使い方の問い合わせや、故障時の修理対応など。
商品の購入と同時にこれらのサービスを同時に購入しているのです。
(一部、購入前のサービスもあります。)

かつて、家電の街 秋葉原に行けば、段ボールを積み上げて、接客サービス無しで商品を売る店がありました。
今もあるのでしょうか。
そういうお店は、上記のようなサービスの大部分を提供しないことで、コスト削減を図り、その分を購入価格を下げる原資にしていました。
そのくらい、サービスには手間とコストがかかっており、その分他社との違いを出せる部分でもあります。

サービスの価値を高める

上記にあげた、お客様の購入サポート、配送、包装、修理、など、通常どのお店でも提供しているサービスの価値をより高める、というのも一つの方法ですが、
私がサービス業化、とまで読んでいるのは、もっとサービスを強化し、他社には無いサービスを提供することです。

たとえば、メガネのまついさんでは、サングラスの試着サービスを提供しています。

メガネのまつい
http://www.e-glasses.jp/

普通のメガネ通販サイトでは提供していないサービスですが、お客様にとっては商品の購入を決定する上で非常に効果的なサービスです。

近江牛.comさんはお肉の通販というジャンルでは珍しく、ギフトシーンに着目し、ギフトパッケージとギフトに纏わるサービスを強化しました。
もともとお肉屋さんのネットショップはパッケージが綺麗なものが多くありませんでした。
ギフトニーズが多いことから、パッケージを和菓子のような高級感があるモノに変更することで、ギフト市場を開拓しました。

近江牛.com
http://www.omi-gyu.com/

これらの事例を見て、サービス業化を考える上で重要なのは、単純に他社が提供している機能を強化する、ということでは無く、ユーザーが求めていても、他社が提供していないサービスを提供する、ということです。
他社が提供していないことには何らかの理由があり、それが参入障壁になるために長く差別化を維持することが出来るのです。

*注意
差別化は選ばれる理由では無く、単なる違いです。
それがある特定の市場セグメントにとって求められる価値であった場合、差別的優位点、つまり選ばれる理由となります。
求められる価値で無かった場合、選ばれない理由になる可能性もあります。