伝統と革新

事業の段捨離

私たちのお客様の中には、長い歴史を持った企業さんが多くいらっしゃいます。
歴史の長い企業ほど、創業当初と現在ではお客様のニーズが変化し、ミスマッチを起こしていることが多いものです。
だからこそ、事業を大きく変えるために当社にご相談にいらっしゃいます。

それでは事業を革新しましょう、といって蓋を開けてみると、「これを変えても良いものか」と悩むこともあります。
これまでの商品や事業が、たくさんの人々の努力や、長い時間の積み重ねによってつくられたものであることに気付かされるからです。

企業が生き残るためには、自社の商品、サービスが「選ばれる理由」が必要です。
それはお客様が求めている価値であり、また競合他社にはすぐに真似できないものでなくてはなりません。
そんな「選ばれる理由」を作りだすのは簡単なことではありません。
それはまだ若い企業の支援をするとわかります。


強味がある段階と強みを作る段階

若い会社は、特別なノウハウも、技術も、ポジションも持っていません。
一見成功しているように見える企業も、たまたま、生まれたばかりの新しい市場にいち早く参入し、戦術的に上手くやっているだけです。
筋肉と一緒で、半年で作った筋肉は半年で無くなるのです。

「選ばれる理由」が無いなら、時間をかけて、なにかを積み上げ、強みを作らなくてはなりません。
その出発点は、価値を磨き続ける覚悟で、覚悟があるからこそビジョンが生まれます。
ビジョンを持って、ぶれずに自らの提供する価値を磨き続けることが差別化、「選ばれる理由」につながります。

若い企業は、0からスタートして、がむしゃらに努力を続け、いつしか自らのミッションを悟り、ビジョンが生まれます。
そして、10年単位で打ち込みつづけることで、強みが生まれ、「選ばれる理由」が生まれます。

言うのは簡単ですが、実際に取り組んでみると、それがいかに大変なことか。
特に、事業は人と人との信頼の連鎖であり、信頼を作るためにかかる時間は短縮できません。
事業を成長させるための本当のボトルネックは、信頼関係を作るための時間なのです。
時間がかかるからこそ、簡単に真似できないのです。


畏敬の念を持って事業を整理する

歴史の長い企業は、そんなビジョンに基づいて価値を培ってきたからこそ生き残っています。
よくこんな決断ができたな。
よくあきらめずにつづけたな。
どれだけの汗水を流したのだろう。
いまこの会社が生き残っているのは、先人の努力のおかげである。
そう思うと、尊敬、感謝の念を持たずにはいられません。

事業革新にあたっては、企業の歴史を紐解きながら、変えるもの、変えないものを選別してゆきます。
いままでの強味や商品を作り上げるまでにどれだけ苦労したかを想像すると、せっかくの蓄積を大切にしたい、と思います。
しかし、今まで強味だと思っていたもの、価値だと思っていたものが、今の経営の足を引っ張っているかもしれないのです。
それを思い切って切り捨てることで、新しい商品、新しい価値を作り上げることに、人や時間を回すことが出来ます。

いやいや、いままでのやり方を続けても、そんなに人も時間も取られてないよ、とおっしゃる経営者さんもいますが、その油断が対処を遅らせてしまいます。
新しいことをやるにはそのための人や時間が必要で、そのためには何かを捨てなければなりません。
出来ればすべて捨てたくない。
でも捨てなければ次のことがやれない。
大胆に、かつ慎重に、分析を重ね、「何を捨て、何を捨てないか」を判断してゆきます。

現在の事業の強味に対する尊敬の念があるからこそ、その中から一つでも価値あるものを拾い上げよう、という気持ちが働き、
だからこそ、リセットするのではない、本当に価値あるものを残しながら事業を変革することが出来るのではないかと思います。