戦略的デザイナー

抽象と具体

デザイナーの仕事は抽象的なゴールを具体的な形にすること。

じつは経営者の仕事も同じです。
抽象的な価値を商品という形にしたり、もしくはサービスとして提供します。
これが、経営とデザインは似ていると言われるゆえんです。

思考と表現

私は人間の思考を3つの階層で考えています。
1階層目は、言語で共有できる思考、2階層目は、言語化は難しいが、自分の中ではある程度のイメージなどで表現でき、再現性がある思考。
3階層目は、頭の中でも表現が難しい、直感とかアイデアと呼ぶにふさわしい思考です。
囲碁や将棋の手を考えるような作業はこのレベルではないでしょうか。
私自身も、「こうやるとうまく行くのでは」というアイデアが先に立ち、なぜそれがうまく行くかをフレームワークに沿って分析しなおすことが良くあります。

デザイン思考

最近はマーケティングや商品、サービスにおけるデジタルクリエイティブの範囲が広がり、経営のゴールをデジタルデザインとして表現することが増えています。
そこで、デザイン思考という概念が注目されています。
デザインのように、抽象的な概念をつかむアイデアだしの作業を経営でも活用しよう、ということのようです。
(厳密な定義は定まっていないようで、たんなる経営における商品デザインの重要性のように言われることもあるようです。)

デザイナーが直面する困難

みなさんはこの動画をご存知でしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=BKorP55Aqvg

この動画の完成度の高さ、私は大好きなのですが(笑)、それは置いておいて、デザイナーやシステム開発の専門家にとっては笑えない話です。
経営者は主に戦略やコンセプトなど、抽象的な概念を中心に扱います。
先ほどの思考のレベルで言うと、2階層目か3階層目です。
そして、デザイナーによって、それは最終的に商品やサービスになります。
つまり、デザイナーの仕事は、より高い階層の概念を、1階層目に翻訳して、顧客に伝えることなのです。

しかし、戦略やコンセプトは抽象的な概念であるため、上手に共有し、議論することが出来ません。
その中に何らかの矛盾をはらんでいても、自ら気づけないことが多いのです。
(だからこそ3Cなどのフレームワークで整理することが重要です。)
デザインの段階になり、具現化されていく過程で、その戦略、コンセプトの自己矛盾に気づくことがあります。
だからこそ、これに最初に気付くのはデザイナーであることが多いでしょう。
そうなったら、その矛盾を経営層にフィードバックし、改善するか、
対立する概念に優先順位を付け、自分で優先度の高いものを優先的に実現するという判断が必要です。
これが出来るためには、デザイナーにも戦略思考が必要です。

戦略的デザイン

戦略とは、絞り込み、フォーカス&ディープ、何をやり何をやらないか。
じつは、この考え方は「何を伝える為に、何を伝えないか」というデザインの思考とまったく同じなのです。
これからは戦略を理解できるデザイナーが必要になるでしょう。
そして、それはデザインそのものを極めることと同じだと思います。


当社には、そんなデザイナーが活躍する場所があります。
興味がある方は気軽にコンタクトください。

https://www.facebook.com/narutoshi.gon

インド人の躍進

2016年1月1日の日経新聞1面は、ソフトバンク 孫正義の後継者と目されるニケシュ・アローラ氏をはじめとするインド人の活躍についての記事でした。
ニケシュに加えて、グーグルのCEO スンダル・ピチャイ氏、マイクロソフトのCEO サティア・ナデラ氏の3者を例に挙げ、インド人の活躍が期待されると述べています。
その理由は、まず、上記の3名は80年代から90年代のインドの政治の変化、90年代のIT革命、その大きな環境変化の波に乗って活躍するチャンスを得たこと。
そして、これからこの3人を含め、上記のような経験を積んだインド人が故郷に凱旋し、若手を支援しつつあることです。

変化の波にのる

私自身の経験を踏まえても、変化の波に乗ることは本当に大事だと思います。
私は1997年に就職しました。
当時はまさに、インターネットが普及し始めた頃でした。
自分で会社を経営しようと思っていた私は、まだ何が何だかわからないながらも、新しい変化の波に飛び込もう、とYahoo!Japanを擁するソフトバンクに入社しました。
IT流通部門に配属され、当時は日本ではほとんど皆無だった、年商数十億と言うEC事業のディレクションを複数担当しました。
その時のノウハウをもとに独立して、これから伸びるであろうウェブコンサルティングという分野を開拓したのが14年前です。
人よりも先行して経験を積み、先行してチャレンジしたことで、新しい波が来たときに圧倒的に有利なポジションにいることが出来ました。
SEO、リスティング広告、google analytics、ウェブサイトの構造設計、戦略的コンテンツ、ウェブサイトのUXDなど、たくさんの専門分野で注目していただく機会を得ました。
変化はチャレンジするものの味方なのです。

ウェブマーケティングは峠を越えた

そんな私も、ウェブの専門家として、現在の会社でも14年のキャリアになりました。
時代は変わり、当時はとても重要だと思った、上記の専門手法も、だんだんと重要ではなくなりました。
私は、どの分野でもいち早く着手し、その分野が効果的でなくなってきたと感じると、いち早く離脱して、新しいことに着手してきました。
そして、いま当社では、ウェブから一切離れた、経営コンサルティングの仕事が増えてきています。
その理由は、もうウェブマーケティングの手法は下り坂に入ってきたと感じるからです。

消費行動は3次元から4次元に

最近は、いろいろなところでオムニチャネルと言う言葉を耳にします。
これについてはまたいろいろと言いたいことがありますが、その発端となっている消費行動の変化は本物です。
通信環境の変化とデバイスの変化が重なり、モバイルインターネット環境が普及しました。
いままでのようにPCの前に座っていなくても、検索して、情報が手に入れられるようになったのです。
そのため、PCからのネット利用は急激に減少し、モバイルからのネット利用がそれ以上のペースで増えています。
これまで3次元の世界を生きていた人々は、同時にネットと言う別の世界も生きています。
新しい次元が加わった、4次元の消費行動をとるようになったのです。

ウェブマーケティングの次

そう聞くと、モバイルデバイス向けのSEMをすればよいと思う方がいますが、そういうことではありません。
PCから離れ、どこでも検索が出来るということは、店舗やカタログ、その他のメディアやツールとの併用が出来るということです。
アパレルショップなら、試着はお店で、探すのはネット(タブレットなど)で、それぞれのメディアの良いところを使い分けるという行動をとります。
だからこそ、検索の前と、検索の後がとても重要になってきました。
検索で1位になり、サイトに誘導できればゴール、という時代は終わり、サイトに来た後のプロセスについても、消費シナリオ全体の一部として、合わせて考えなければならなくなったのです。
これによって、ウェブマーケティングだけを考えて何かをする時代は終わり、消費者の視点を中心として、企業活動全体を設計しなければならなくなってきたのです。
企業活動全体をUX(CX)デザインから捉えなおす時代になりました。
そこで、私たちは自然とウェブ以外も含めたUXデザインを支援するようになったのです。

ゴンウェブコンサルティングからの社名変更

その結果、ここ3年ほど、「社名から想像する事業のイメージと、実際の事業内容が違いますね」と言われることが多くなりました。
私たちは同じ価値を提供しているつもりですが、ウェブコンサルティングという業種名が一般的になり、しかし、いろいろな意味でつかわれているために、イメージとの不一致が大きくなってきたのです。
そこで、私たちは、今年自社の社名を変更しようと思っています。
以前から思っていたことですが、今年踏み切ろうと思いました。
モバイルからのネット利用が過半数を超えた今、ウェブ活用はウェブサイト制作やウェブ集客ではなく、いよいよ4次元のUXデザインに切り替わってきます。
それをお客様のニーズの変化からも強く感じているからです。
まさにいま、潮目が変わり、ウェブマーケティングの波よりも、もっと大きな波が押し寄せようとしているのを感じます。

1月19日 賀詞交換会にて

1月19日に毎年恒例の賀詞交歓会を開催します。

http://www.gonweb.co.jp/seminar/2016ny/

上記のような、ウェブ戦略ではなく、事業戦略に目を向けよう、というテーマで、当社がご支援させていただいた2社の事例を挙げてお話しします。
ゲストである上澤梅太郎商店の上澤佑基さん、小島屋の小島靖久さんからチャレンジへの覚悟についてもお話をおうかがいします。

変化はチャレンジするものの味方です。
ご興味のある方はぜひご参加ください。

日本酒選びのUser eXperience Design(UXD)

*この記事はism2015アドベントカレンダー参加記事です。
http://www.adventar.org/calendars/1187

利き酒番所での体験

先日セミナーで新潟に行ってきました。
帰りに新潟駅併設の建物内の利き酒番所と言うところに立ち寄ってきました。

http://ponshukan-niigata.com/02.htm

500円でコインが5枚購入でき、メダル1枚と交換で、100種類程度の日本酒の中から、好きなものをおちょこ半分くらい飲めます。

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店内を見ると、いろいろなガイドコンテンツがあり、日本酒への興味がたかります。

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日本酒を4つのタイプに分けて味わいと香りの違いで4つに分けていて、美味しい温度を紹介しています。

また、蔵元の紹介があり、開発背景にも興味が湧きます。

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日本酒と合わせて味をたのしめる、いろいろな塩、味噌などもありました。

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日本酒を注ぐディスペンサーはコインを入れてボタンを押すと注がれるようになっています。
ディスペンサーの横にもガイドコンテンツがあり、購入のサポートになります。

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日本酒選びUser eXperienceの問題点

いろいろな日本酒、いろいろな情報が楽しい施設でしたが、いろいろと惜しい点もありました。

■ガイドの不一致
まず、せっかく日本酒の味と香りを4分類して説明しているのに、それぞれの日本酒がどれにあたるかが書いてありません。
私の場合、香りが強いもの、味が濃いものが好きなので、熟酒、醇酒、薫酒をそれぞれ試したかったのですが、どれがそれにあたるかわかりませんでした。
また、同じように蔵元別にもなっていません。
100種が並んでおり、それぞれの解説を見ながら選ぶしかありません。

■コメントの基準
そこで、それぞれの解説を見ましたが、どれもオリジナリティの強い表現になっていて、比較してどれが香りが強いのか、味が濃いのか、などがわかりませんでした。
「全部素晴らしい」と言いたいようなのですが、気持ちはわかりますが、これはかえって購入者の判断を妨げます。

その中で、なんとか「甘い香りがたまらない」というコメントを見つけ、「香りが強いだろう」、と期待して購入しました。
しかし、鼻を近づけても、他の日本酒よりも薫りが弱く、口に含んで飲んだときに鼻を甘い香りが通る、という程度のものでした。
あとで気づいたのですが、コメントを書いているのは、何らかの資格をもった日本酒好きの方のようなのですが、コメントをしている方がばらばらで、たくさんの方で分担して書いているようです。
それぞれの感覚の違いで、コメントに統一的なルールが無いように見えました。

■購入方法

また、購入方法も迷いました。
コイン売り場がわからず、また施設にお店の方がだれもいなかったため、他のお客さんに、コインの購入方法を教えていただきました。
さらに、購入したい日本酒ディスペンサーにコインを入れて、ボタンを押すのですが、このボタンは1回押せばよいのか、それをも押し続けるのか、迷いました。
ドリンクバーなどで良く迷うところですね。
また、2回目の購入の際にはメダルを入れてボタンをおしても日本酒が出ず、お店の方を呼びました。
そうしたら、「やり方が間違っているとおもう」と言われまして、どうやらくぼみにはめ込まないと、センサーが反応しない、とのことでした。
しかし、くぼみに合わせると、日本酒が出てくるノズルが方向的にずれて、こぼれそうだったのと、1回目はくぼみに合わせなくても出たので、それがわかりませんでした。

問題の本質

いろいろと書きましたが、要はユーザー体験の設計(UXD)が一気通貫になっていないという問題です。
ガイドコンテンツやそれぞれの機能、サービスがばらばらに設計されていて、ユーザーエクスペリエンスとしてデザインされていないのです。
だから、それぞれのコンテンツや機能は良くできているのに、流れがばらばらになり、価値として伝わっていません。
さらに、その場に店員さんがいないことからもわかるように、それに対して責任を持つ立場の人がいないため、その問題点に誰も気づきませんし、改善もされないのです。
ウェブデザインでも良くある話で、せっかく戦略や構造が良いのに、表層デザインがそれらを引き継いでいないと全部無駄になってしまうのです。

UXDで考えるならこうして見ては?

UXDのスタートラインとしては、まずはユーザーはだれか、と言うことです。
たとえば、私のように、旅行で新潟に来ており、日本酒に詳しくないが、そこそこ日本酒は飲み、ある程度の好みがある、という人。
日本酒の名前も、蔵元の名前はぜんぜんわからず、味が濃いのがいい、という程度の好みがあります。

その場合、やはり日本酒4分類から入り、その分類に沿って、ディスペンサーを区分けするとよいでしょう。
同じグループの中で、日本酒度(甘さ)とか、アルコール度数を軸にして並べるとさらに比較しやすいと思います。
さらに、味の濃さと香りの強さ以外で典型的な特徴、たとえば、酸味が強い、とか、そういうある程度のお酒に当てはまる特徴は、ラベルシールなどを付けて、分かりやすくするのが良いでしょう。

参考:小島屋 アーモンド分類 油なし、塩なし、などの〇ラベル

http://www.kojima-ya.com/fs/kojimaya/c/a005

そして、たくさんの味を飲み比べするなら、その味を暗記するのは難しいです。
メモを取りたいでしょうから、それぞれの味や薫りをメモする紙が欲しいです。
出来れば、味と薫りの2軸でどのくらいの位置に来るのかをマッピングして、自分の好みがどのあたりなのかを自分で確認できるようになっていると良いと思います。
さらに、そのメモの裏には、「ディスペンサーの操作手順」が書いてあるといいですね。

そして、気に入った商品を購入できるように、売り場のどこにその商品があるのかがわかるようなマップが欲しいです。
また、ディスペンサーにQRコードを貼って、直接ネットで購入できるのも良いと思います。
amazon IDでログインできるなら、数秒で購入できるので、最高です。
さらにはネット上では、この商品を買っている人の傾向データから、他の日本酒がレコメンドされるといいですね。
デジタルで補足できれば、その後はネット通販で、定期的にメルマガ配信なども出来ます。

UXDならウェブサイトも実店舗も同じ

普段からUXDの視点でウェブサイトを設計している人であれば、同じように、店舗のUXDから店舗のサービスや動線設計も可能です。
オムニチャネル消費を考えると、これからはウェブデザインだけを考えても、UX、CXの最適化は出来ません。自然とウェブ以外の顧客接点もデザインする必要が出てきますが、それもウェブデザインを方法は同じだということです。